上腕二頭筋腱炎

上腕二頭筋と長頭腱の解剖

力こぶ」と呼ばれる上腕二頭筋は、肘を曲げたり、腕をひねったりする際に働く筋肉です。この筋肉は2つの腱(長頭腱と短頭腱)によって肩甲骨につながっています 。長頭腱(ちょうとうけん): 肩関節の中を通って骨頭の上部を走行し、関節の安定化にも関わっています。

上腕二頭筋腱炎とは

上腕二頭筋腱炎とは、上腕二頭筋の腱(肩の前側を通る腱)に炎症が起こる症状です。
肩の前側に痛みが出るのが特徴で、腕を上げる・物を持つ・肩を回すと痛みが強くなることがあります。

上腕二頭筋は、肘を曲げたり腕を回したりする働きだけでなく、肩関節を安定させる重要な役割も担っています。そのため、スポーツや仕事などで肩を繰り返し使うことで腱に負担がかかり炎症が起こります。特に肩の前面にズキッとする痛み腕を上げた時の引っかかるような痛みがある場合、上腕二頭筋腱炎の可能性があります。

 

1. 主な症状

上腕二頭筋腱炎では、次のような症状が現れることがあります。

肩の前側の痛み:肩の前方にピンポイントの痛みが出ることが多く、押すと痛みが出ます。

腕を上げると痛い:洗濯物を干す髪を洗う、上の物を取るなどの動作で痛みが出ます。

肘を曲げると痛い:物を持つ動作重たい物を持ち上げると痛みが出ることがあります。

夜間痛・安静時痛夜寝ている時に肩がズキズキ痛むことがあります。

肩の引っかかり感肩を動かすと違和感や引っかかる感覚が出る場合があります。

2. 原因

主な原因は、腱への繰り返しの負荷や加齢に伴う変化です。 
  • 使いすぎ(オーバーユース): 野球やテニスなど腕を振り上げるスポーツ、重労働、長時間のパソコン作業などで肩に反復的な負担がかかることが原因となります。
  • 加齢による変化(変性): 50代以降になると、腱組織自体が硬く、脆くなり(腱障害)、炎症や小さな断裂が起こりやすくなります。
  • 肩関節の不安定性: 肩関節は可動域が広いため、構造上、腱や筋肉に負担がかかりやすい関節です。他の肩の疾患(腱板損傷や五十肩など)と合併することも少なくありません。 

3. 検査

超音波エコー 検査(Evaluation)

 

    • 超音波(エコー)検査: リアルタイムで腱の状態や炎症の有無、他の外傷との鑑別をするのに有用です。
 

4.  放置のリスクと早期受診の重要性

上腕二頭筋長頭腱炎を放置すると、痛みが慢性化するだけでなく、腱の変性が進み、最終的に腱断裂に至る可能性があります。断裂した場合、日常生活に大きな支障をきたし、さらに筋力低下が残る場合があります。 肩の痛みや違和感でお悩みの場合は、決して自己判断せず、早めに受診し、適切な治療を受けることが大切です。
 

5.当院での治療法

 

①エコー検査による評価

当院では運動器エコー(超音波画像診断)を用いて患部の状態を確認します。

エコー検査では上腕二頭筋長頭腱の腫れ、腱の肥厚、炎症反応、腱板損傷の有無、滑液包炎

などを確認することができます。

レントゲンでは写らない筋肉・腱・靭帯などの軟部組織を評価できるため、より正確な判断が可能です。

②炎症を抑える治療

炎症が強い初期段階では、まず炎症を抑える施術を行います。

当院ではハイボルテージ療法、超音波治療、電気治療、アイシング

などを用いて、痛みの原因となる炎症を早期に抑えていきます。

これにより痛みの軽減回復促進組織修復の促進が期待できます。

③肩関節・肩甲骨の可動域改善

肩の痛みは、肩関節だけでなく肩甲骨の動きの悪さが関係していることが多くあります。

そのため当院では肩関節モビライゼーション、肩甲骨の可動域改善、手技療法

を行い、肩の動きを正常化していきます。

これにより腱への負担を減らし、症状の改善を促します。

④筋肉バランスの改善

上腕二頭筋腱炎は、肩周囲の筋肉バランスの崩れによって起こることが多い症状です。

当院では回旋腱板トレーニング、肩甲骨安定化トレーニング、インナーマッスル強化

などを行い、肩関節の安定性を高めて再発を防ぎます。

⑤姿勢改善

猫背などの姿勢不良は、肩に大きな負担をかけます。

そのため当院ではストレッチポールを用いた姿勢矯正、ストレッチ指導

を行い、肩に負担の少ない身体作りをしていきます。

⑥セルフケア指導

症状改善には、日常生活のケアも非常に重要です。

当院では自宅ストレッチ肩の使い方指導生活動作の改善

などを指導し、症状の再発を防ぎます。