変形性股関節症

変形性股関節症とは

変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減り、痛みや動きの制限が生じる進行性の病気です。
初期の段階で適切なケアや治療を行うことで、症状の進行を遅らせ、生活の質(QOL)を維持することが可能です。

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1. 股関節の役割

 

股関節は、骨盤と太ももの骨(大腿骨)をつなぐ、体の中で最も大きな関節の一つです。歩く、立つ、座るといった日常生活の基本動作を支え、体重を支える重要な役割を担っています。関節の表面は「関節軟骨」というクッションのような組織で覆われており、骨同士がスムーズに動くように潤滑油の働きもしています。
 
 

2. 変形性股関節症の原因と分類

変形性股関節症は、原因によって主に2つに分類されます。
 
A.一次性変形性股関節症
明らかな先行疾患がなく、加齢や肥満、過度な負担などが原因で発症するタイプです。
 
B.二次性変形性股関節症(日本人に多いタイプ)
他の病気や骨の形の異常が原因となって発症するタイプです。 日本人の約8割はこのタイプと言われています。
  • 寛骨臼形成不全(臼蓋形成不全): 股関節の受け皿(寛骨臼)が生まれつき浅い状態です。 このため、体重がかかる面積が狭くなり、特定の軟骨に負担が集中してすり減りやすくなります。
  • 先天性股関節脱臼(発育性股関節形成不全)
  • その他の原因: 外傷(けが)、関節リウマチ、ペルテス病など
 

3.変形性股関節症になりやすい人

  1. 女性:男性よりも女性の方が発症率が圧倒的に高いことが知られています。これは、ホルモンの影響や骨盤の構造の違いなどが関与していると考えられています。 
  2. 肥満体型の方:体重が重いと、股関節にかかる負担が大きくなります。歩行時には体重の約3倍の負荷がかかると言われており、体重管理は非常に重要です。
  3. 高齢者:加齢に伴い、関節軟骨の弾力性や修復能力が低下するため、発症リスクが高まります。
  4. 激しいスポーツや肉体労働をする方:股関節に繰り返し強い負荷がかかる生活習慣は、軟骨の摩耗を早める原因となります(例:重い荷物を持つ仕事、サッカー、ラグビーなど)。
  5. 股関節の病歴がある方:先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)など、生まれつき股関節の形に異常がある方は、若いうちから発症しやすい傾向があります。
  6. O脚の方:O脚は股関節への負担が増大する姿勢・歩き方のため、発症リスクが高まります。 
 
 

4. 主な症状と進行度

初期 
動作開始時の痛み: 歩き始めや立ち上がる時、長時間座った後に動き出す際に、股関節や足の付け根、時にはお尻や太もも、膝に痛みを感じます。
違和感: 動きの制限は少なく、安静時には痛みがないことが多いです。
 
進行期・末期
  • 持続的な痛み: 長時間歩くと痛みが強くなったり、安静時や夜間にも痛みが出るようになります。
  • 可動域制限: 股関節の曲げ伸ばしやひねる動きが悪くなります。靴下を履く、足の爪を切る、和式トイレを使うなどの動作が困難になります。
  • 跛行(はこう): 痛みをかばうために足を引きずる歩き方になります。
  • 脚長差: 関節の変形が進むと、左右の足の長さに差が出ることがあります。
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当院での治療の流れと段階別アプローチ

 
    • 1.視診・触診
      • 姿勢・歩容(歩き方): 左右のバランスや痛みをかばう動作(跛行)がないかを確認します。
      • 股関節・骨盤周囲: 股関節周りだけでなく、骨盤の歪みや腰、お尻、太ももの筋肉の状態を触って確認します。
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      • 2.可動域測定
      • 股関節を動かしてみて、曲げ伸ばしや回旋に制限がないか、左右差の有無を調べます。 
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        • 3.徒手検査・スペシャルテスト 
          • 股関節や股関節周囲の筋肉、靭帯の状態をチェックするための専門的な検査を行い、痛みの発生源を絞り込みます。
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              • 仰向けに寝て、片足のくるぶしをもう片足の膝に乗せ、「4の字」の形を作ります。
              • この状態で、股関節を開く方向に軽く圧迫を加えます。
              • 股関節の前側や仙腸関節(骨盤の関節)に痛みが出た場合、変形性股関節症や他の関節疾患の可能性が考えられます。
 
 

各段階に合わせた施術計画

評価に基づき、以下の施術を組み合わせます。
 
【初期段階の目標】進行予防と根本改善
この段階が最も整骨院での改善効果が期待できます。関節への負担を減らすことが最優先です。
  • 姿勢・骨盤矯正: 股関節に負荷をかける原因となる姿勢や骨盤の歪みを特定し、ソフトな矯正でバランスを整えます。
  • 筋肉調整(手技療法): 周囲の緊張した筋肉(お尻、太もも、腰)をほぐし、血行を改善します。
  • 運動療法(指導): 弱っている筋肉を強化し、関節を安定させるためのセルフエクササイズを指導します。
 
【進行期段階の目標】痛みの緩和と機能維持
痛みが頻繁に出るため、日常生活の質(QOL)の維持・向上が中心となります。
  • 物理療法: ハイボルテージ療法や温熱療法を用いて、痛みを効果的に抑えます。
  • 関節モビリゼーション: 固まりつつある関節の動きを、無理のない範囲で維持・改善させます。
  • 日常生活動作の指導: 杖の利用検討や、痛みを悪化させない動作の工夫をアドバイスします。
 
【末期段階の目標】最大限の疼痛緩和とサポート
手術が必要なケースが多くなりますが、手術までの期間や、手術が難しい場合の緩和ケアを行います。
  • 集中的な疼痛緩和ケア: 手技や物理療法で痛みを和らげることに特化します。
  • 医療機関との連携: 手術が必要な場合は、スムーズに医療機関へご紹介します。
 
ステップ3:再発防止のためのセルフケア指導
施術効果を持続させるため、ご自宅でできる簡単なストレッチや筋トレ方法、生活習慣のアドバイスを行います。患者様ご自身が日々のケアに取り組むことが改善への近道です。